大腸癌(直腸癌)ISRによる手術

コロナ禍の中、齢50にて、初の直腸癌にかかってしまった。

直腸がん?直腸癌?
調べるうちに分かったのだが「癌」と「がん」は医学的には使い分けがされている。
ひらがなの「がん」は悪性腫瘍「全体」を示すときに用いられ、上皮細胞から発生するがんに限定するときは、漢字の「癌」という表現を用いる。今回私がかかったのは下部直腸癌。

だが、癌と疑われてから診察を受けていくうちに、知りたい情報がネット上にあまりないことがわかり、不安で一杯になった。しかし、世の中にはこの病気にかかる人は数多い
一生涯で癌になる確率は男性62%、女性46%。この中で大腸がんは胃がんに続いて第2位である。このブログは、今後同じ病気にかかった方のための参考になればと思って記載する。
分割して記載すると見るのが大変と思うので、一気に記載しようと思う。

<下部直腸癌の兆候>

人間ドックで引っかかったことはなく、今回の直腸癌の兆候は「血便」である。
ここで混同されがちなのは、「血便」と「下血」である。
「血便」とは、一般的に赤い血が混じっている便のことをいう。大腸や肛門など、下部消化管から出血した場合です。肛門からの出血だと鮮やかな赤、大腸からの出血だと暗赤色になることが多いと言われます。
「下血」とは、胃や十二指腸などの上部消化管からの出血した場合をいう。胃や十二指腸で出血すると、便として排出されるまで時間がかかり、その間に血液が胃酸や消化酵素の作用で変色するため、コールタールのような黒っぽい便が出ます。

私の場合、痔核(いぼ痔)もあったため、そこからの出血かと思っていたが、血便(明らかに血と分かるくらいの鮮血が便と共に出てくる)が毎回、あるいは数回に1回の状態が2週間以上続いたため、おかしいと思った。大腸には神経が無いため痛みは全くなく、しかし鮮血が便器を染める。血は出ない時もあるので気のせいかとも思いたいのだが、そんなことはありません、数日かけて血便がなくても、排便時2回連続で出たらアウトと思ってください。即検査した方が良い。早期であれば、簡単な内視鏡摘出術で済むから。放っておくと今回私のようになりますよ。

最初は近くの肛門科があるクリニックへ受診し、肛門から指で触診される・・・、先生曰く「指の届く範囲(肛門から3cmくらい)のところに出来物らしき当たりがあり、出血が認められる。痔の類の出血ではない。直腸癌が疑われるが、正確には大腸カメラ検査が必要、しかし、当院での検査は2ヶ月待ちなので、すぐにでも検査した方が良いから、大きい病院を紹介します。」とのことであった。

<大腸内視鏡検査>

2日後くらいに検査日が取れたので、大腸カメラ検査を受けるのだが、病院にもよるが基本的には前日の朝から検査食(病院の売店で購入できる、レンジでチンして食べるもの)を指定される。夜8時までに検査食(朝・昼・夜)夜食をすませ、9時ごろに下剤ピスコルファート(目薬みたいな容器に入ったもの1本を水コップ一杯に混ぜて)を飲む。私的意見だが、それほど飲みにくいものではなく、スポーツ飲料みたいな味である。容易に飲める。効いてくるのは朝方であるので、そのまま就寝すれば良い。
ピスコルファートナトリウム

さて、ここからが大変だ。
上記のピスコルファートで出る便は1回程度。そのあと、検査を受ける時間の約3〜4時間前から、「モビプレップ」という下剤を飲むことになる。
2Lのミネラル水を準備しよう。コンビニで2Lペットボトルを買ってきて、冷やしておく方が良い。冷やした水を上(Aエリア)から入れて、キャップをしめる。Aエリアを上から圧迫するとAエリアとBエリアの間の仕切りが取れて水とBの粉が混ざる。粉が水に溶け切るまで混ぜ合わせる。
この下剤、人によって飲みやすさは違うと思うが、私は苦手だった。味は濃い梅味。
最初は梅味じゃん!という感じで飲めるが、濃いので徐々に飲むのが辛くなっていく。
これを一気に飲むのではなく、2時間かけて飲む。15分で250ml。
30分かけて500ml飲んだら、水を250ml飲む。これを4回繰り返す。結果、水含めて3L飲むため、きついのである。病院にもよるが、最後の便の混ざり状態は看護師がチェクするので、ちょっと気まずい。最終的には便カスが混ざっていない薄い黄色になる。

さて、下剤は検査を受ける病院によって違うし、こちらから指定はできない。病院の仕入れ業者との取引具合であろう。モビプレップとは違う下剤で「ニフレック」というものがある。
これに当たればラッキーだ。味はポカリスエットを少し爽やかなレモン風味にした感じで非常に飲みやすい。また、間に水を挟む必要もなく、同じく2時間かけて飲むが、あっさり飲める。さらに、便の綺麗さもこちらの方が上だと思う。私見ですが、検査を受ける機関を選ぶ際には事前に確認して「ニフレック」を使っているところを選んだ方が良いかも。



<大腸内視鏡検査>

下剤で大腸をきれいにすると、いよいよ検査。
直腸癌と確定するまでに大腸内視鏡検査を2回受けたが、この検査する検査医師の技量によって検査中の痛みが変わる。検査には麻酔などは一切使用しないため、1回目の時は最悪で、男性の医師だったが、検査中、お腹は張るは、痛いは大変であった。病院によっては、検査前に痛み止めとか少し眠くなる薬を使ってくれるため、最初からお願いしておいた方が良い。眠くなるといっても、寝ることはなくずっと意識がある中で行う。2回目の医師はすごくうまく、もう終わり?という感じで終了した。検査前に点滴用の管をつながれ、そこから痛み止めとかを注入されていく。検査は横になり左向きになり膝を折って行う。お尻に穴のあいた検査用のパンツに履き替えさせられる。病院によっては売店で購入しておかなければならないところもある。内視鏡カメラは口からの胃カメラと同じくらいの大きさで、肛門から入り、大腸の一番奥まで進んだあと、戻りながら撮影して帰ってくるという手順。



検査で、クリニックで言われていた通りの位置に癌らしきものがあることが分かった。
見た目での検査結果はその日のうちに分かる。検査中にも大腸カメラの映像がモニタに写っているのが見えるので自分でも確認できる。位置は、下部直腸、癌の大きさは高さ2cm長さ5cmとかなり大物。下図を別サイトから引用したが、位置的にはこれが近い。


癌が目視できると、その形状や出血具合によって、癌疑いがかかるのだが、私の場合限りなく癌に近い形と言われた。しかし、本当に癌なのかは病理組織検査(以下病理検査)の結果がものをいう。カメラの先端からクリップ挟みが出てきて何箇所かの細胞を採取、1週間ほどで病理検査の結果が分かる。癌かどうかの判断には、この病理検査が全て。ここに至るまでに、通常のCT、造影CT、MRI、血液検査などで腫瘍マーカが出ていないか、リンパへの転移が無いかも検討をつけていくが、私の場合どれにも引っかからず、完全特定には細胞組織の病理検査が必要。

病理検査の結果、癌かどうかは下図のようにグループで表現される。
私の場合、血液検査は数回行ったが腫瘍マーカーは一切無し、造営C Tではリンパ転移は無し、病理検査では癌とは言い切れないグループ4の「癌うたがい」と出た。実はセカンドオピニオンで別の病院でも2回検査したのだが、そこではグループ3「腺腫」とかグループ1「非腫瘍」と出た。つまりいずれの検査でも癌確定では無いが、「癌うたがい」があるのでいずれにしても今後癌が進行する可能性があり、治療した方が良いとなるのだ。

大腸カメラでの見た目がほぼ癌であるが、内視鏡での細胞採取場所によっては、上記のように病理検査の結果が異なってくる。これは、癌だと思われる塊の奥に癌が潜んでおり外側の細胞からは癌だと確定できないケースが多いからだそうだ。結果、実際に癌組織を手術等で採って検査するまで癌かどうかは分からないというのが医療の実際である。


さて、大腸内視鏡によって見た目で判断できるレベルでは今回TisあるいはT1であろうとのことで、まずは大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による癌摘出を試みるというもの。
これは、大腸の壁は粘膜層、粘膜下層、筋層という3つの層からできているが、がんは最も内側の層である粘膜層から発生するため、早期がんの中でもさらに早期の病変に対して、胃カメラや大腸カメラで消化管の内腔から粘膜層を含めた粘膜下層までを剥離し、病変を一括切除するという治療法です。
この術式で癌が取り切れれば、下記癌ステージは0期となる。


大腸ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術

さて、術式が決まり大腸ESDを行うが、流れ的には大腸内視鏡検査と同じ要領で行う。ただ、カメラで見るだけではなく、電気メスを用いて癌を粘膜層から剥離する術式であるため、入院期間は1週間はかかる。
もしも、癌が上記T1以下の下層へ浸潤していると、この術式ではガンは取りきれないということである。浸潤度合いを図るための超音波検査というのもあるのが、今回ように高さのある癌だと超音波が届かず測れない。よって、一か八か切りに行ってみるしか無いのである。
結果、これも術中は経過を見ることができるのだが、T1以下に浸潤しているようで、1時間くらい格闘したが、癌細胞が大腸壁に入り込んで硬くなっており、電気メスが入っていかないため、この術式では取れないとのこと、1/3くらい切ったところで断念となった。
術後もすぐに食事は取れないため、数日間は点滴のみで、徐々におかゆからご飯へと変えていき、問題なければ1週間で退院となる。




大腸ESDで癌が取れない場合、外科手術による処置が必要である。ここで、癌の位置が肛門から3cmから5cmくらいの位置の場合、ISR(内肛門括約筋切除術)で行うことになる。通常、肛門からもっと近い位置、1cm〜2cmくらいだと肛門は残せないため、直腸とその周辺のリンパ組織、肛門ごとを切除し、一生人工肛門での生活となる。この場合、申請すれば障害者4級という階級が与えられるが、決してメリットというレベルではない。ISRであれば、肛門を温存することがでいるため、生涯におけるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下は最小限にできる。
<治療にかかる費用>

また、この段階までにおいて検査で一切癌と判断されていないため、医師は癌という診断書を書けない。がん保険をかけていても一銭も降りないことを知っておいた方が良い。「がん保険」以外にかけていた、「生活習慣病保険」からはいくらか出てくるが、実費は覚悟である。

さらに入院時、個室希望であれば病院によるが、私の場合大きい病院だったので1日約2万円から3万であったため、よくあるがん保険の1日1万円(私の例)では足りないので注意が必要。今回の入院はコロナ禍の中だったため、できるだけ感染リスクを避けるため個室を希望した。
ここまでの治療で癌と確定できないまま、内視鏡、CT等の検査費用や大腸ESD費用の持ち出しは約30万円以上かかった。当然、限度額適用認定証の交付も受けていたが、それでもこれくらいかかった。入院保険額は最低でも2万円はかけておいた方が良い。
この後に述べるISRでの入院では100万円以上の支払いとなるが、癌と診断されれば、保険で100万円は戻ってくるので自費は少なくて済むだろう。だが、1%くらいの確率だが、手術後癌ではありませんでしたとなると、上記費用は全額持ち出しとなり、後遺症にも悩む最悪の羽目になるので注意。

<病院選び>

ここで、重要なのが病院選びである。とりあえずはクリニック等から紹介された病院で検査等は行うが、そのまま同じ病院で入院手術を受けて良いものかは考えもの。
医師の口車に乗らず、自分で判断することをお勧めする。例えば、大学病院は大きいから良いかというとそうでもない。若い医師に経験を積ませるために、担当医にするケースも多いため、下手くそな新米医師に当たると最悪な事態になる。初診で受けた医師がそのまま手術担当というケースが多いので、医師の技量は事前に確認した方が良い。直接聞けば良いのだ。

診察時、対応が横柄な医師は避けよう。説明が細かく親切な医師で、患者の心のケアを考えてリスクを最小限にしてくれるという安心感を与えてくれる医師なら信用しても良いかも。検査や治療のリスクばかり話し、患者を不安にさせるような医師は、手術の腕に自信がないからなので、避けた方が良い。セカンドオピニオンも堂々と頼めば良い。

また、今回の私の下部直腸癌の位置であっても、病院によっては手術の難易度が高いため、本来ならISRが可能なのに、「肛門ごと切除します」と言ってくるような病院も避けた方が良い。

病院選択では、事前に自分が受ける術式の症例数を聞いていた方が良い。ホームページにも症例数が記載されている病院も多いが、例えば大腸がんとしての症例数のみ掲載していて、100以上あっても、より詳細な事例、下部直腸ISRとしての症例数が記載していないケースも多い。また、数年前までのデータしかないケースが多いため、該当病院の外科医師に直接伺うのが望ましい。2019年度くらいまでなら大腸ESDでの症例数が年間で数十件以上あれば問題ないだろう。

また、ISR自体の症例数は2019年度くらいで、大きい病院でも年間1〜2例というところも多い、この場合、不安が多いため、ここはきちんと調べて年間約15から20以上くらいの症例数があるところを選んだ方が良い。

また、ISRの術式自体は数年前から全国で一般的に行われているが、一般的には「腹腔鏡下術」で行う。通常の腹腔鏡下術だと医師が手で器具を操作するため、体の中にいれる器具の特性上、可動範囲がどうしても限られるため、医師の思いに器具が追従しないことがある。

よって、可能であれば「ロボット支援:ダーウィン」を使った腹腔鏡下術式を行ってくれるところが最適です。ロボット支援下での術式であれば医師から見た視野も良く、部位の拡大率も高く、手で行う腹腔鏡下術よりも細かい作業が可能で、正確なため出血も少なくて済む。結果退院も早くなります。病院選択の重要事項の一つである。


<ISR(内肛門括約筋切除術)


さて、今回は癌の位置が歯状線よりも少し上だったので、切除ラインがちょうど歯状線くらいのISRという術式で決定した。肛門を締めている筋肉には「外肛門括約筋」と「内肛門括約筋」があり、外肛門括約筋は自分で意識して締められる筋肉で、内肛門括約筋は自律神経が無意識のうちに締めている筋肉です。この内肛門括約筋を少しでも残せるかどうかが、術後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)度合いに大きく影響する。内肛門括約筋が残せないと、術後の便失禁の可能性が高くなる。
上記の図ではISRとESRがあるが、当然ISRの方が、内肛門括約筋の一部と外肛門括約筋全てを残せるため、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)はESRに比べて良くなる。
ただし、この術式は60歳を超えると途端にQOLが下がるので、高齢者にはお勧めできず、その際は生涯人工肛門となる確率は高いです。個人差があるため、医師と相談してください。


ISR手術での入院期間は2週間から3週間、癌の進行具合によっては放射線治療が必要になるため、一概には言えないが、リンパへの転移がない場合で2週間から3週間見ると良い。

<一時的人工肛門造設>

しかし、このISRという肛門温存術でも一時的(術後3ヶ月から半年間の期間)に人工肛門を造設する必要がある。なぜなら、大腸のうち直腸(約15cm)を含むリンパ組織をゴッソリ切除し、肛門と結腸を直接縫い合わせるため、縫い合わせ部分が安定するまでの3ヶ月から半年の間は大腸に食べ物を通すことができない。よって、小腸(回腸という)から大腸に繋がる一歩手前、ヘソの右側から小腸の一部を体外へ露出させて、人工肛門とするのだ。その間かなり不自由する。
検査で縫合箇所が安定していれば、早くて3ヶ月で人工肛門を腸に戻し閉鎖する手術を行うが、その際には約10日間は入院が必要である。
こんな感じでお腹に造設させる。
口側から汚物が出てくる。肛門側からは腸液が出てくる。
いずれも人工肛門を覆う袋(ストーマ パウチ)に溜まっていく。
小腸を切り離さないギリのところで切開し縫い付ける。




<ロボット支援下腹腔鏡下術 ISR  一時的人工肛門増設術>

1)手術日の二日前の朝から入院
コロナ禍での入院は面会が禁止である。家族であっても、個室であっても1日10分程度にするように指示がある。

昼から病院食となる。全がゆである。
この日は忙しく、採血検査、尿検査、腹部レントゲン、心電図、MRIなど1日がかりで検査がある。夜21時には下剤(錠剤)を飲む。効いてくるのは翌朝。

2)手術前日
この日は朝は流動食となり、朝以降は食事が取れない。お茶・水のみとることができる。
歯科、麻酔科、薬剤師、手術看護師、主治医の診断・話がある。

歯科では手術時に口から挿管するのだが、そのさいに歯が外れないように、ぐらついている歯や入れ歯がないかのチェックをする。

麻酔科では、どのような麻酔を使用するのか、術中は背中(脊椎あたり)から細い痛み止めチューブを差すこと術後も数日抜けないことなど説明がある。また、術後も痛み止めを入れていくが、痛い場合は我慢せず言うことを言われる。痛みを我慢していると脳が痛みを覚えてしまい治りが遅くなる。仕方ないが、説明の後は毎回署名を求められる。

薬剤師は普段から服用している薬の確認やアレルギーなどがないかの確認がある。

手術看護師からは病室からオペ室まで歩いて行くことと、手術台に上がってから麻酔で意識がなくなるまでの手順、術後はベットに乗った状態で病室まで運ばれること。体のどこにどんな管が付けられるのかの説明がある。体に着く管は(片側の腕から点滴用1本、痛み止め点滴1本、胸から痛み止め1本、背中(脊椎)から痛み止め1本、術後の血抜き用の管が右側面の切開部から1本、尿管へカテテール1本、鼻から酸素用管1本、口から酸素マスク1本、血圧計が巻かれっぱなし)計9本+心電図用のモニター配線が数本である。
ここで、気になるのが、仰向けで寝ているため背中の痛み止めの管痛くないのか?と思うが、管が細いので結果、違和感はなかった。

担当医からは手術の内容や術後の状態などが詳しく説明された。この際看護師も同席する。術後は不都合が多いが、我慢せずにナースコールを押しまくるように言われる。

さて、この日、腹部剃毛があるわけだが、隠部の毛を全部は剃りません。生殖器の上1cmあたりまでをおへそまわり含めてバリカンにて剃毛する。感染を防ぐために剃刀等での剃毛は行わないのが最近の常識である。看護師が「ごめんねぇ」と言いながら剃毛してくれるのだが、かなり恥ずかしい。みんな気にしているだろうが、パンツをギリギリまで下げるだけなので、性器は剥き出しにはならず相当妄想しない限り、ここで勃起することはない(笑)。

ここまでが完了すると、入浴できる。

入浴の後は、水分補給用の点滴が刺さる。このまま手術後まで継続する。

ここで、術後自分で交換していくためのストーマパウチ(後述)という袋 を選ぶためのパッチテストをお腹で行う。3種類のストーマ パウチでのパッチテストをしたが、どれも皮膚が赤くなり、仕方ないので一番マシなものとするしかなかった。

よる22時ごろ、下剤を飲む。マグコロールPという粉剤とピコスルファート1本をコップ1杯の水に溶かして飲むだけ。これはスポーツドリンクのような味で飲みやすい。これはその日のうちから効いてくるので、寝るまでに数回便意がある。

3)手術当日
朝から食事は取れない。
手術は午前中だったので、午前6時半から水すら飲めないので、早起きして水分補給はしておいた方が良い。
6時半には浣腸が始まる。この時の排便は看護師が確認しにくるので流してはいけない。
問題なければ、歯磨きを済ませ、手術30分前に手術看護師がお迎えに来るので、歩いてオペ室へ向かう。
この時の服装はなんでも良いが、パンツは履いて、パジャマとかで良い。麻酔がかかった後、真っ裸にされるので着ていた服を入れてもらう紙袋などが必要と言われる。術後は勝手に術後衣になっている。
オペ台に乗り、背中に痛み止めの管を脊髄あたりに差すのだが、横向きになり、両膝を抱えて背中を精一杯丸めて針をさす。ごくまれに針が神経に刺さる場合があると言われたがベテランだったので問題なかった。

ロボット支援下腹腔鏡下術では以下の通りの箇所を切開する。傷口は小さく、治りは開腹に比べて早いと言われている。手術時間だが、ISRの場合約6時間くらいはかかる。医師も集中力が大変だ。

手術後、オペ室で起こされ意識が戻る。30分ほど安静室で待機後、病室へベッドのまま運ばれる。目を覚ました瞬間は麻酔が色々効いているため痛みはないが、身体中に色々刺さっている違和感は感じる。

4)手術日の夜〜2日目の夜くらいまで
まず、上述したが体には(片側の腕から点滴用1本、痛み止め点滴1本、胸から痛み止め1本、背中(脊椎)から痛み止め1本、術後の血抜き用の管が右側面の切開部から1本、尿管へカテテール1本、鼻から酸素用管1本、口から酸素マスク1本、血圧計が巻かれっぱなし)計9本+心電図用のモニター配線が数本着いているのでこれが結構しんどくて痛い。さらには、ふくらはぎには足用のポンプ式マッサージ機が装着され、自力で歩行できるまでは動きっぱなしになる。これが痒くてうるさい。

また、これは術後初めて知ったが、肛門からは大腸体液(透明でどろっとしていて粘り気の高いゼリー状のもの)と血が勝手に出てくるので、おむつを付けられている。これが、術後数週間に渡って続くとはこの時点では知らなかった。吸水パッドなどを大量に購入する必要がある。

しかも、寝ている間は超頻繁に喉がめっちゃ乾くので、水を飲みたくなるのだが、飲んではいけない。「楽のみ」を用意しておき、喉が乾く都度、夜中でもナースコールを押して「うがい」をし続ける。1時間に一度、ひどいと20分おきにナースコール押していたと思うw 看護師さんすみません。
さらに、手術中から寝たままなので、お尻の肉がもげそうな痛みで仰向けでいられないとか、違和感とか、横になろうにも管が痛くて横に向けない辛さとか、喉の渇きで2日間は一睡もできなかった。そして私は肌が弱いので、チューブを固定しているテープとかのあとが痒くてただれてくる。もう我慢ならないが、どうにもできなくストレスが半端ない(個人差はあると思います)。

5)術後1週間以内くらい
術後1日目くらいから血圧計と心電図酸素マスク、鼻から酸素管をなんとか外してもらい、少し楽になる。そのほかの管は刺さったまま、電動ベッドを起こしてみたり、座ってみたり、立ってみたりから始め、歩行のリハビリを始めることに。
これは術後の血液はドロドロで固まりやすく、運動して血液循環をよくしていく必要があるからである。血液サラサラの薬も使うのだが、歩くことが1番の薬らしい。
身体中が痛い中、無理して歩く。その方が治りが早い。寝ている時もそうだが、咳払い、くしゃみするだけでお腹に激痛が走る。いくら腹筋を鍛えていても関係なく痛い。

食事は術後3日目くらいからお交じりから開始、術後1週間で全がゆとなる。その後も軟飯と消化の良い食べ物のみが続き、まずくて量が入らない。でも病院では1日1,800kcalくらいは出てくるのである、でも太る気配は一向になし。 

6)回腸ストーマパウチ管理
術後にはすでに写真のような回腸ストーマパウチという袋が人工肛門に着いている。
上部の穴に人工肛門を差し込み、腸から漏れてくる腸液をこれで受けるのだ。食べてはいないが、点滴で栄養補給をしているので、黒い液体がここにかなりの量(1日1Lくらいかな)が溜まってくる。手術の翌日にも似たようなタイプへ交換してくれるが、最初は排泄物の処理は自分では行えず、写真の袋下側が空いているのだが、そこを何重かに折って輪ゴムで止めているので、看護師さんが都度溜まったら捨ててくれる。
術後の人工肛門は腫れているため、大きさは驚くほどデカく、直径5cmくらいの真っ赤な梅干しが着いている感じである。これが10日間くらいで直径2.5cm〜3cmほどまで小さくなっていく。腫れが引いて大きさが安定するまでは、人工肛門のサイズを都度測り、パウチの穴の大きさをハサミで切って調整する。

術後3日目くらいから、退院後に自分で交換していくストーマ の選定実験に入る。
まずは、パッチテストで一番マシだったものをつけていく。いきなり自分では交換でいないので、何回かは看護師に取り替えてもらい、その方法を覚えていき自分で実践できるように訓練する。これができないと退院できない。

ストーマパウチ は以下のように多くのメーカが出しており種類がある。回腸ストーマ の場合、便が柔らかいか水状なので、キャップ式というタイプの一体型のものを選ぶ。交換頻度は2日か3日に1回。パウチの価格は一つ1,000円くらいするので、結構コストがかかる。
交換にはパウチ剥離用の薬品や、貼り付け面のクリーナー、脱脂綿、洗濯バサミ、ビニール袋、洗面器、 ハサミなど色々な薬品や道具が必要だが、方法までは今回は記載しない。

交換にかかる時間は、お腹に密着させる面板が安定して固定されるまで手で押さえておく必要がある(約15分間と言われたが、後にしっかり安定させるには30分が適切と判断)ので、慣れていないうちは開始から1時間以上かかる。

交換している最中は、人工肛門がお腹から剥き出しになり、腸から無意識に汚物が流れ出てくるので、それを皮膚に付けないように脱脂綿で抑えたり、拭き取ったりと大変である。
食事してから2時間以上空けてから交換しないと大変なことになる。それでも出てくるが、頻度は減る。
だから、例えば仕事終わりに家に帰ってからパウチ交換するとなると、食事を先にしてしまうと大惨事になるし、お風呂へ入るとパウチが剥がれるリスクがあるため、順番は、お風呂20分(原則シャワーのみとなる)→パウチ交換60分→夜食30分となってしまう。元々夜食が遅い人はさらに生活習慣が悪化するので、早めに帰宅するなど注意が必要。



パウチの最終選定までには何回も不具合(面板が外れてくる)が起こり、ひどい時には1日3回も交換する羽目になることもあった。便が漏れて体に着くと皮膚がただれてくる、そうなると次のストーマ パウチが装着できなくなるので、自分の肌に合うストーマ 選びは非常に重要。病院にはストーマ管理専門の人が必ずいるので、相談しながら進めていこう。

なお、ストーマ パウチを付けた状態での入浴だが、原則シャワーのみをお勧めする。湯船に浸かりたいところだが、面板がふやけて水が侵入したり、汗で外れやすくなるため、湯船に浸かっても5分程度が良いだろう。

なお、入院中術後シャワーに入れるのは5日目くらいからですが、お腹に管が刺さったままですので、管の部分に防水シートを貼って点滴台ごと入浴となる。自由に動けないので、これがまたストレス。

ストーマ パウチにはガス(おなら)も貯まるので膨れてくるが、ストーマ パウチによってはガス抜き穴があるので、そこから徐々に抜けていく。入浴時にはその穴をシールでいちいち塞ぐタイプと何もしなくて良いタイプがあり、私が最終選定したものでは、入浴時は何もしなくて良いタイプになった。

また、術後の便量を計るために、排便はトイレではなく指定された軽量カップにビニール袋を被せて出し、いちいち記録していくことが10日間くらいは続けることになる。この場合、普通のビニール袋を使用したのだが、2重にしても匂いが漏れ出し臭くなるので、予め匂いを通さないビニール袋を購入しておいた方が良い。ネットで買えます。退院後もストーマ パウチ捨てるために必要になるからね。

ストーマ パウチ自体に便が200gも溜まったらかなり重く、重さでパウチ面板が剥がれそうになるため、一日に5〜6回は廃棄しなければならない、これは退院後も続くので仕事上支障が出る方がいるかもしれない。

7)術後1週間から2週間くらい
日々徐々に体に刺さっている管が1本ずつ外れていき、痛み止めも点滴から錠剤へと変わっていく。術後10日くらいで管は全て取れる。この時の開放感と言ったらない・・・後はストーマ管理との格闘である。痒みが起きたり色々と事故が起きつつも縫合部の痛みと、腸液による肛門の痒みと、いぼ痔の痛みと戦いつつ日々入院生活を過ごす。何しろ、お尻が痛いので座ることができず、寝るか立つかだけというのが辛い。

8)術後2週間から3週間
この間でストーマ 管理が完璧になり、術後経過がよければ退院となる。

<退院後 パウチとの付き合い>

ストーマ パウチとの付き合いが始まる。
3日おき(なか2日)で交換を目安にしているが、着いたところが剥がれてきたりとトラブルもあり、毎日交換することもある。

頻繁に換えると、肌に負担をかけるので痒くなったり、痛くなったりするため、パウチの状態を見ながら3日おきがベストと判断した。

交換日は、以下の流れとなる。
1)昼飯は12時〜14時までの間で済ませておく
2)それ以降は交換するまで食事してはいけない(ストーマ から便が漏れ出しやすくなる)
3)帰宅する。
4)入浴。・・・約30分
  パウチ交換しない日には接着面がふやけないように「パーミロール」という
  超薄いフィルムを貼っておくが、交換日はふやけてきても良いので貼らずに入浴する。
  パーミロールをパウチの周囲に貼ってお湯の侵入を防いでおけば、湯船に10分〜15分
  は浸かることができる。パウチの接着面の持ちも良くなるのでお勧めです。
5)パウチ交換・・・約15分
  ・脱脂綿(15枚程)、洗面器(お湯付き)、ビニール袋(匂いを通さないもの)、
   皮膚用リムーバ(3M Cavilon)、洗濯はさみ(ビニール固定用)、ティシュ、
   洗浄クリーム(リモイスクレンズ)、肌保護剤(リモイスコート)、
   ハンディ扇風機を準備し、以下手順で交換する。
   a)パンツを履いた状態で、パウチ下にビニールを洗濯バサミで装着。
   b)皮膚用リムーバでパウチ上部から少しずつ剥がしていく。
   c)パウチをビニールの中へ落とす。
   d)ティッシュ、脱脂綿で余分な汚れを軽く落とす。
   e)洗浄クリームをストーマ 周辺に塗り込み肌を綺麗にする。
   f)湿らせた脱脂綿で洗浄クリームを拭いとる。
   g)ティシュで軽く洗浄あとの湿り気を吸い取る。
   h)リモイスコートを吹き掛け、ハンディ扇風機・ドライヤーで乾かしていく。
   i)新パウチを装着する。
6)新パウチの上から手で押さえること約30分。(寝た状態)
7)食事

ここで、肝になる部分は6)パウチを手で押さえること約30分。この時間をケチるとパウチの着きが悪くなり、後から剥がれやすくなる。病院では10分〜15分と言われたが、私の場合それではNGで、30分きっちりと押さえた場合はその後の定着は安定した。

皮膚が弱い私は、このパウチがお腹についているだけで痛いとか痒いとかの症状が現れるが、
パウチの中のため、掻くこともできず、ひたすら我慢するしかない・・・
痒み止めとして、病院で処方された液体リンデロンを使ったこともあったが、油分が含まれているようで、後から必ず剥がれてくる。よって、痒みは我慢するしかないのだ。
パウチを貼った周囲が痒い時は、なんと液体ムヒが有効である。

パウチ交換は、なんだかんだで1時間以上要するため、食事時間が遅くなってしまう。


<肛門から大腸液漏れ改善せず>

先生は徐々に改善するとおっしゃったが、退院後1ヶ月以上経っても、大腸液が漏れてくる症状は改善せず、常にパッドを装着していないといけない状態である。不思議と、寝ている時は漏れてくることがない。食事している時や朝起きた時には出てくるぞ。ただこれは自分で止めることができず、出てきた感覚はあるのだが、止められない、止まらないのだ。よってパウチは必須状態となる。量は日に日に減っては来るのだが、1ヶ月以上たった今も、無くなることはない。結果半年経っても量は減ったが止まることはなかった。

<消化管造影検査で失禁>

退院後50日ほど経ってから、この検査を行ったのだが、病院のトイレにて造影剤を失禁してしまう事件が起こった。検査自体は15分ほどで終了したが、造影剤として透明なジェル状の大腸液のようなものを多分100ccほど肛門から注入され、レントゲンを撮っていく。この造影剤は、検査後、便意があってトイレで出せるものだと信じていたが、検査後約15分ほど経つまで何の変化もなく、念のため行った多目的トイレに入った途端、まだズボンも下げていない状態で、しかも立っている状態のまま、造影剤がお尻から出てくる感覚があった。肛門を閉める間もなく、あっという間に流れ出てくるそれは、パンツいっぱいに広がった・・・無念
そのあと、便座に座っている時は大丈夫だが、立つといきなり漏れ出すを繰り返し、1時間ほどトイレから抜け出せない状態が続いた。

<肛門引き締めトレーニング>

少し(数ミリらしい)しか残っていない、内肛門括約筋を鍛えるため、肛門引き締めトレーニングを始めることにした。仰向けになり、意識的に黄門をギュッと5秒間引き締める、3秒力を抜く、これを10回で1セットとして、10セット、計100回を1日1回行う。2ヶ月くらいで、お尻から漏れていた透明なヌルヌルの量が減ってきた。ある程度効果がありそうだ。しかし、ストーマ閉鎖後の状態に耐えられるのかが心配である。

<半年後… 人工肛門閉鎖術で入院>

回腸ストーマ形成から、通常は3ヶ月でストーマ 閉鎖術に入るのだが、上記の通り液漏れが止まることがなく、この状態で閉鎖すると大変なことになるのではと思い、先生と話をしていく中で、焦らずに様子見ていきましょうとのことで+3ヶ月ストーマ閉鎖を延長することになった。
ここで、一つショックなことが。主治医の先生が転勤で居なくなるというのだ!マジで?
不安が一層強くなる。後任の先生は感じのいい人だったので一安心。

ここで、新情報。今後の参考にしてください。
回腸ストーマを形成すると、大腸にものが通らなくなるため、大腸は便を硬くする機能を低下させる。この期間が長いとストーマ閉鎖した後の大腸機能回復に時間を要することになる。ですから、3ヶ月で閉鎖した方が良いのである。今年はコロナなので、病院側も緊急性の高い患者を優先して手術することもあり、結果長くなるということもあるが、仕方ないことだね。

入院の日、主治医の先生からストーマ 閉鎖術の説明を受ける。
ストーマ 形成されている周りを切り、小腸を引っ張り出す。
引っ張り出した小腸を多めにカットしてストーマごと切り離し、カットした部分を縫合し、お腹に戻す。ストーマが出ていた部分に穴が開くので、縦に閉じて縫い付ける。

ストーマになっている2穴の内、便が出てきていた方は良いが、大腸へと繋がっている側の小腸は使用しないために径が細くなっている。よって、太い小腸と細い小腸を縫い合わせるが、縫合後は縫合部分に腫れが起こるので、その腫れで小腸が塞がれてしまうと腸閉塞が起きるかもしれない。などの説明があった。まぁ理屈では納得。

大腸と小腸がつながるので便が肛門へと流れ始めるのだが、大腸の機能が正常になるまでに数週間から数ヶ月かかる(個人差がかなりある)。だから、最初のうちは、回腸ストーマに溜まっていたような状態の便がそのまま肛門から出てくるという・・・。
だから、大腸が動きを覚えている間に閉鎖する方がいいんだね。そういえば、トミーズの雅さんが直腸癌切除術をした際には、回腸ストーマも作らずに直腸切除をして10日くらいで退院したと聞いたが、それだと大腸機能は温存でしょうね。だから回復も早かったのかな。

食べ物や飲み物が口から入って(1日の合計約5リットル)、小腸で体積の80%が水分吸収され(残り1リットル)、大腸で残りの20%の水分が吸収される、よって肛門から排泄されるのはカスだけ。回腸ストーマから出てくる便は割と水っぽい時が多いが、1日の合計量は約1リットル程度。この状態で80%の水分が吸収された後なので、正常に大腸で水分が吸収されれば肛門から出てくる便は200g程度となる。これが、一回で出るのではなく、最初のうちは何十回にも分けて出てくるため、同じような手術をされた方のブログを読んでいますと、どじょうくらいのものがちょろちょろという表現は納得できる。排泄を我慢できるようになってくると、意識的に肛門手前で止めておくことができるようになるそうで、そうすると大腸による水分吸収効率が上がり硬めの便になるという。あとは、食事の時間や量の調整で自分の状態を観察しながら生活していくしかないということですね。

ちなみに、アルコールや水分を一気に摂取すると、小腸では吸収しきれないので、そのまま大腸へ流れ込む。なので、下痢しないようにするにはアルコールも水分も少しずつ摂取するのがコツだという。

それでも、便失禁が起こるのではないかという不安は消えない。その時が来ないとね。
看護師の話では、術後仕事していないお年寄りの方が多く、40・50代の方でも症例はあるが、どれくらいで復帰できるかわからない、通常1ヶ月やそこらでは排便コントロールはできず、下痢が続くという・・・マジですか・・・

<ストーマ閉鎖術について>

さて、今回の手術ですが、ストーマ閉じるだけなので楽チンかと思いきや、看護師さんの話では、皆さん1回目の手術より痛がるとのこと。なぜなら、背中からの痛み止めがないからだそうです。あれはめっちゃ効くのだそう。今回はお腹への部分的な痛み止めと点滴による痛み止めらしいのですが、あまり効かないと・・・。

さて、実際には。術後の夜がまだ眠れない。
前回ほどではないと思っていたが、傷口が大きいのと、腸がガスでパンパンになるのでそれが痛くてしんどい。痛み止めは数種類あるらしいが、効くやつは吐き気を伴うので、効き目が薄いもので我慢するしかないね、吐き気は結構ひどい。

翌日からは歩かないといけない。前回の手術では背中から入っている痛み止めが効きまくっているため歩きやすかったが、今回は傷口がずっと痛くて歩くのが辛い。じっと寝ていると大丈夫なのだが、座ったり、立ったりすると痛みが増す。トイレでも痛い。

<術後1日目>

歩くことができれば、足のポンプと、酸素、心電系、尿管に刺さっている管が外せるので、頑張って歩く。尿管が炎症を起こしていて、この痛みが用を足すたびに痛みが走ること数日これが地味にしんどい。
先生はまず、おならから始まって下痢になると言っていたが、夜中ずっとお腹が張ってしんどい。おならは力まなくても、じゃんじゃん勝手に出てくる(大丈夫か)。透明な液とともに・・・寝たまま、右向いて、左向いて体制を変えながらオナラを出していくこと数時間。少し楽になってきた。

<術後2日目 下痢が始まる>

点滴のみとなる。しかし、傷口の痛みは相変わらずでじっとしているしかない。
さて、ここから下痢が始まった。急にやってくる。少量だが、明らかに便の色の水状のもの、我慢できなくはないが、5分〜10分おきに出てくるので、念のためのおむつが手放せないし、トイレからも中々離れられない。数回トイレで用を足しただけで肛門がひりひり痛い・・・マジかぁ・・・トイレのたびに尿管は痛いわ、お尻は痛いわ、お腹の傷は痛いわで大変。この状態いつまで続くの??????
お尻用に軟膏を出してもらっているが、こうも頻繁だと全く効かない。
常にお尻に力入れておかないと漏れてきちゃう。全集中肛門の呼吸一の型。もたねぇー。

<水溶便5分インターバル>


ベッドに寝ている。肛門のあたりがムズムズしだし、暑くなる。肛門がギュッと縮まり痛くなる。目の前のトイレに入る。水溶便が出る。シャワートイレで綺麗にする。トイレットペーパーで拭く。シャワートイレで綺麗にする。トイレットペーパーで拭く。便が付着していたら、シャワートイレで綺麗にする。トイレットペーパーで拭く。繰り返すこと3から4回。エキザルベという軟膏を肛門に塗る。トイレを流す。手を洗う。ベッドに戻る。すぐに肛門のあたりが…の繰り返しを5分から10分おきに…

病院のトイレットペーパーは固いので。妻に柔らかめのを買ってきてもらいそれを使う。大体2時間で1ロール無くなる。


この悪夢のインターバル間隔をなるべく長くするには、寝た状態のムズムズの時に肛門引き締めトレーニングにより鍛えた引き締めの威力を持って耐えること。まぁ限界あるけど…25分から30分かな。


<夜にはガスが溜まる>


夜9時以降から下痢は少しおさまるが、大腸にガスが溜まりやすくなり、お腹が痛くなる。これをオナラとして外に出さないと辛い。でも、出る時はオナラなのか下痢なのか判断がつかない。ドキドキである。

私流の出し方(寝たまま行います)

1)仰向けに寝て両膝を立てる。

2)左の膝を抱えてお腹側に引く。

3)そのままの体勢で右に倒れる。


<術後3日目〜>


相変わらず下痢は朝4時から寝るまで続く、不思議と夜中になると腸の働きが悪くなり、朝型までは眠れる。しかし、日中は大変。約60回の少量の下痢がずっと続く。近い時は5分インターバル、空きがある時は30分ほど。病室から動くこと、いやトイレ前から離れることすらできない。


<看護師も知らない!運動すると下痢が止まる!?>


朝から食事が3分粥となるが、固形らしき食べ物は南瓜の皮なし煮物程度。さて、食べたら1〜2時間は下痢になるので、なんとか解決できないものかと思案する。長時間使用しなかった大腸の回復を早めるには、刺激を与えて目覚めさせること。

看護師曰く、大腸機能回復には通常数カ月から1年かかると言われているが、そんなにかかるのか?活動停止する時は早いのに?復活は遅い?スポーツ1日休んだら、取り戻すのに3日かかるというが、大腸も?そんなバカな!と疑問である。

そこで、コロナ禍でもあるため、病棟内を歩いて周回するだけの「運動」を始めてみることにした。最悪、歩いているときにお漏らししても、おむつ履いてるし、いいや!と思って・・・


そうすると、なんということでしょう・・・下痢が良くなるではありませんか。

お昼食べた後、しばらくは下痢でしたが、動くことによって腸が活性化し消化を促し、お尻まで届くまもなく消化されてしまう・・・のではないか?という感じすらする。

1時間以上、下痢が止まるではないか!これは発見!続けて実験していこう。


翌日も3分粥、朝食食べて6回連続の下痢。ちょっと落ち着いたので、実験開始。周回散歩コース。10周ほどしてみると、下痢が止まっている。歩いている際にやばそうな感覚もあるが、我慢していると納まり、また歩き続けられる。このまま実験継続。


昼食。3分粥。食後すぐに下痢にならず、周回散歩コース。10週ほどしてみる。じんわり汗かく程度。オナラは出るが、下痢にならない。効果あるぞ!運動!

まぁ、食べている物が消化良すぎるので、出てこないのかもしれないが、食後1時間経っても下痢にならない。やばいと思ったら運動する。これを続けてみよう。


後、体を冷やすのもダメです。飲み物は常温か暖かいもので。


<排便状況>


↓術後すぐ、真ん中から右側


四角い茶色が便、白丸が食事、四角い水色が小便
ただし、便は形のない水様便である。



↓術後1週間




↓術後2週間
この頃からある程度、形のある便が出始めたので、

茶色が形ある軟便、水色が水様便。白は食事。

この翌週から仕事復帰する。



↓術後1ヶ月


食事をしてしまうと食べている最中から頻便が数時間続くので、

仕事中は食べることができない・・・

食事は帰宅後の1日1回のみとした。それがこの状態。

便意が始まると5m以内くらいにお手洗いがないと間に合わない(汗)

なんとか仕事はできるが、常に紙おむつを着用している。


食事で唯一気をつけているのは、

最初にボールいっぱい分くらいのサラダを食べること。

食物繊維を多く取ることで、便の量が増える。

次回固形便になりやすいので、おすすめである。


また、食後に整腸剤と乳酸菌を取ること。

大腸の機能が回復するには数ヶ月から数年かかるようです。

ですから少しでも腸内環境を良くするために乳酸菌を摂ろう!


1週間単位で若干の改善を感じる。



↓術後3ヶ月


食事をしてからは相変わらず3〜5時間頻便が続く。
夜中2時ごろまでは眠れない日々。
でも日中は止待っているので仕事はできる。
ただし、朝からお腹は減った状態。
決して体に良い行為ではなさそう。

紙おむつのランニングコストが高いので、
この頃からパッドに変えてみる。コスパは良い。


↓4ヶ月後

このように1日1食でも多い時もある。
お酒を飲むと(それほど多くなくても)下痢がひどくなる傾向が
あるが、必ずそうとも言えない。よくわからない。

↓8ヶ月後

少なくなってきた。
しかし、排便が始まってから3〜5時間は寝ることができない。
毎日この状態だと正直辛い。
食事は帰宅後1日1食のみが続いています。


ストーマ閉鎖術後は2年くらいかけて徐々に頻便も改善していくそうだが、
個人差があるようです。2年経った状態がその人にとっての自然の状態。
それ以上は良くはならないとのことでした。

ここから2年でどこまで回復するのでしょうか。





































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