ハイレゾオーディオとは PCM DSD

最近巷で聴くハイレゾオーディオ。
ハイレゾ音源とも言うらしいが、一体どんなものなのか?
まずはアナログの音声をデジタルへ変換する方式から
話さなければならない。

通常のCDに記録されている音源は44.1kHz/16bit。
これは音をPCM(パルス符号変調)方式でデジタルへ変換したもので、

上記のように白い曲線が音のアナログ線で、
それを横軸に1秒間44,100回の解像度でサンプリング、
縦軸を16bit(65,536)のダイナミックレンジでサンプリングし、
なるべく細かくアナログ波形をなぞる形式である。
ダイナミックレンジはdB(デシベル)で表し、
1bitで6dB分が表現できるため、16bitなら96dBとなる。
このダイナミックレンジは俗にS/N比とも言われる。

この縦横の解像度をより細かくしたものが
ハイレゾオーディオといい、44.1kHz/16bitよりも
解像度の高い音楽のことをいう。
PCM方式のハイレゾオーディオでは、一般的に
96kHz/24bit,192khz/24bitなどがあるが、
サンプリングの解像度によっていろんなタイプがある。

ちなみに、「アナログレコード」のサンプリング周波数は
意外にも96kHzとCDよりもハイレゾクラスである。

ではCDの44.1kHz/16bitはそんなに音が悪く、
ハイレゾはそんなに音がいいのか?
というと、そうでもない。
CDを作成するときのマスタリングの仕方により
大きく変わる。

昔のCDを聞くと音量が小さく感じるものがあるが、
これはCD劣化ではなく、ダイナミックレンジを高低とも
フルに入れていたせいで、音が小さく感じるだけである。
音量を上げて行けばその音の良さと深みが分かる。
しかし、最近のCDは最初からボリュームが大きい。
これは業界関係者が、マスメディアで曲を鳴らす際に、
他よりデカく鳴らせば目立つ!という発想から、
マスタリングの段階で、ピーク付近の音量ギリギリで
CDにしてしまったせいで起きている現象である。
こうなると他社もこれに合わせ始めるようになり、
俗にいう「音圧戦争」が始まったのだ。
音圧戦争は1990年代後半から始まった。

ならば、昔のマスタリングはどれくらいのものだったのか。
試しに1990年初期のアルバムで出力が小さく感じていた、
「マイケルジャクソン DANGEROUS」
「布袋寅泰 GUITARHYTHM Ⅱ」を
iTunesへAppleロスレス形式で取り込みし直して、
USB DAC経由で音量を上げて聴いてみた。
すると、なんということでしょう!
クリアで奥行きのある音ではないか!!
私は今まで何を聴いていたんだろうと
自己嫌悪に陥るくらい違う。
最近ではこの音圧重視のマスタリングも
見直されつつあると言われているが…

そもそも44.1kHz/16bitは結構いい音である。
人間の可聴域は20Hz〜20kHz=44.1kHzの範疇といわれる。
しかしダイナミクスに関して言うと、
クラシックで120dB、人間の聴覚限界は130dBなので
16bit(96dB)では不足。
これにあわせて音の解像度をもっと引き上げようと
96kHz/24bit(144dB)まで高めたのである。
それがハイレゾオーディオである。
でも実際にこれをCDに入れようとした場合、
容量不足となり、入らないので16bitとしているのだ。
媒体保存メディアがDVDやHDDなどに変わることによって、
ハイレゾ音源の制作と視聴が可能になってきた。

その流れで、昔一時期だけ出たスパーオーディオCDの
アナデジ変換方式が最近クローズアップされ始めた。
このCDは一般のCDプレーヤーでは再生できない。
当時はPCMとスパーオーディオのハイブリッド仕様で
販売されていが、価格も高くプレーヤーが専用と
いうことで流行らなかった。
しかし今になりクローズアップされ始めた。
スーパーオーディオCDのアナデジ変換方式はDSDという。


簡単に言うとCDの64倍のサンプリング周波数である。
この方式(パルス密度変調)はちょっと変わっている。
PCMでは縦方向に16bit,24bitなどの解像度を持っていたが、
縦方向はたったの1bitつまりゼロか1の表現しかない。
このDSD方式は縦は1bitだが、横方向(時間軸)は
やたらと高い解像度(2.8MHz,5.6MHz)でサンプリングし、
波形の上下のデータを横軸の密度に変換して音を出す
という仕組みである。
PCMに比べてアナログに近いとされている。
(参照:http://blog.goo.ne.jp/commux/e/e08c353a7d0d5be49a00c3c61e7b8372)
青い線:アナログ入力
赤の横棒:積分器の出力
黒の矢印:アナログ入力の振幅
水色の矢印:量子化器の出力が負帰還されたもの

結果、黒の横棒(ゼロ)よりも赤の横線が上なら1
黒の横棒よりも赤の横線が下ならゼロ
という風に変調する方法である。
詳しく説明すると余計にややこしいので割愛する。

これにより、縦方向が1bitで済むため、
結果PCM方式より曲あたりのデータ量は小さくて済む。
DSDのダイナミックレンジは100MHzまでのようで、
PCMだと96kHzに相当する。

だとするとPCMの方が良い気がするが、
DSDのメリットはでかいスピーカーで音量を上げても
粗さが目立ってこないということ。
小さい部屋で小さいスピーカーで
聞く分にはPCM形式で十分である。

ではPCでこれらハイレゾ音源を聞くにはどうすれば良いか
Mac miniでハイレゾオーディオ」を参照。

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