F-15J戦闘機イーグル


空自で活躍中のF-15Jの話をしよう。
子供の頃、石川県小松基地でF-4ファントム戦闘機の離陸をみて感動した。
ジャンボジェット機の離発着は誰でも見たことがあるだろう、
音もそこそこ大きいが、糸で静かに吊り上げるようにゆっくりと上昇していく。
しかし、ファントムは違った。耳を覆いたくなるような、
ものすごい轟音と共にあっという間に空へ駆け抜ける様は子供の私にとって

感動そのものだった。カッケー!!!という感じ。

F-4EJファントム戦闘機


TBSで放送されている空飛ぶ広報室に登場するF-15J戦闘機。
通称イーグル。双発機(エンジン2つ)。
製造は現ボーイング社、当時マクドネル・ダグラス社のF-15Cを、
日本向けに改修した機体である。航空自衛隊での運用開始は1981年12月7日。
母体となったF-15Cはアメリカ空軍の主力戦闘機だったが、
その部品を輸入し三菱重工業が中心となり組立(ノックダウン生産という)。
その後、アメリカから生産の技術を買い取り、国産として生産、
(ライセンス生産という)今までに165機生産された。このF-15Jはアメリカの
F-15よりも性能的に優れていると言われている。
他にも最近話題にあがるPAC3もライセンス生産だ。
空自では、上記のF-104J戦闘機の後継としてF-15Jを導入した。
1975年後継機の選定を開始、アメリカ空軍の戦闘機であった、
F-14、F-16、F-15を候補として選出。
これがF-14戦闘機 トムキャット。双発機(エンジン2つ)。
映画トップガンに登場する戦闘機。主翼が折畳まれる特徴がある。
重量が重い割りには戦闘能力は高く、
主に艦隊防空目的で生産され、Mig-23にも勝利している。
これがF-16戦闘機 ファイティング・ファルコン。単発機(エンジン1つ)。
F-16は単発機のため、パワー、機動性、エンジンが停止した場合の
緊急性を鑑み、候補から外された。日本は海に囲まれているため、
エンジンが故障すると墜落する。単発機はコストも安くメンテナンスも容易。
だが、人命優先あくまでも防衛目的ということですね。
F-14も良かったが、F-15に比べて2割以上高いことがネックとなり、
性能的にもF-15が高いということで、1977年12月28日の国防会議で
空自次期主力戦闘機としてF-15が正式採用された。
1981年12月7日に宮崎県新田原基地にF-15飛行隊が編成され、
1982年12月に実践飛行隊である第202飛行隊(写真)が誕生。
2000年10月に解隊される。 

1984年3月には那覇基地 第204飛行隊イーグルにF-15が導入されるが、
1974年にアメリカで配備された当初は世界一の性能であったが、
後発の戦闘機に見劣りする部分も出始めていたいたため、
アメリカ軍は近代化工事を施した。
これをMSIP(多段階能力向上計画)という。
自衛隊もこれに準じて一部の機体にJ-MSIPという近代化改修を行う。
J-MSIPを施した機体は情報処理能力が向上し、
新型の空対空ミサイル(AAM-4とAIM-120)の搭載を実現、
兵装制御盤(コックピット内装備)をアナログ式から画面式にする。
エンジンも電子制御となりトラブルを激減させた。
後方警戒レーダーも装備し、飛躍的に性能があがっている。
石川県 小松基地 第303飛行隊 ドラゴン。
私が子供の頃見たファントム戦闘機F-4EJの後継として、F-15Jが
配備されたのは1987年12月。F-4とF-15ではミサイルの種類と携行数は同じ。
しかし、戦闘行動半径はF-4の1.6倍となった。さらに最大速度も、
F-4のマッハ2.2からF-15はマッハ2.5とアップした。
同じく、小松基地 第6航空団 第306飛行隊。イーグル。
こちらは1997年3月にF-4EJからF-15へ改変。
部隊マークは「白山のイヌワシ」

機体上部から板状のものが前に跳ね上がっているのは、
エアブレーキである。
F-4EJでは着陸減速時、パラシュートを開く必要があったが、
このF-14Jではその必要が無い
AAM-4(99式空対空誘導弾)
防衛省技術研究本部と三菱電機が開発した中射程空対空ミサイル(AAM )である。
4番目の国産空対空ミサイルということでAAM-4とも呼ばれる。

1980年代、アメリカはアクティブレーダーホーミング(ARH)方式の
中射程AAM であるAIM-120 AMRAAMを開発中だった。
従来のスパローなどの中射程AAMは発射から命中までの間、
敵機の後方に近距離で追尾し続けなければならず、
回避行動がギリギリになる危険があった。
ミサイル自体が誘導電波を発するARH方式なら自機の自由度は大幅に増し、
ミサイル発射後、即、回避行動をとれる。
これは空中戦において極めて有利である。
同じ頃、ソ連でも次世代中射程AAMの開発中だった。

しかし、日本は、
アメリカはこのミサイルを自軍とNATO軍にしか売らず、
日本には売ってくれないのではないかという懸念を抱き、
このままでは世界に乗り遅れるという理由で自国生産することにした。
(後に、アメリカは意地悪をせず、NATO以外にも販売している)

射程距離およそ100km。
『指向性破片弾頭』を備えている。
通常の弾頭はミサイルが敵機の傍を通過するのを感知して全周に破片をバラ撒く。
AAM-4は敵機の方向を正確に探知し、
爆風と破片の大半を敵機に集中して浴びせかける。
電波妨害にも強く、敵機を確実に仕留める。
現在この方式の弾頭を実用化しているのは日本だけである。
日本はさらに改良を進め、AAM-4改を開発、
ロックオン性能を高めた。
アメリカ製 AIM-120 AMRAAM。
F-35戦闘機 単発機 (開発途中)
現在F-15Jの後継機として開発途中の戦闘機。
ステルス性能が高く、垂直離着陸が可能である。
空自が導入するのは垂直離着陸は出来ないタイプ。

この機体を導入するには問題がある、
上記で紹介したAAM-4はこのF-35には搭載出来ない。
ステルス戦闘機はその性能を高めるためにミサイルは機体の中に格納
しておく必要があるが、AAM-4は大きすぎて入らないのである。
AAM-4の直径は8インチ、だがF-35のミサイル格納庫は、
直径7インチで設計されているため、搭載出来ないのだ。
AIM-120は7インチのため搭載は可能。
日本独自で開発し、性能を上げたのに皮肉なもんだね。
8インチにした理由は破壊力と射程を重視したため。
さらなる開発を強いられる訳だね。

F-35は単発機だが、なぜ採用されたのか?
F-15JのエンジンPW-220/Eは双発で、1機の
ドライ推力は64.9kN、アフターバーナー推力は105.7kN。
一方、F-35のエンジン推力は、
ドライ出力でも125kN、アフターバーナー使用時には191kNにも達する。
双発の合計出力に匹敵する。
また、エンジンはデュアルソースを採用しているため、信頼性は高い。

もともと防衛省はF-22の導入を望んでいたが、米国が輸出を認めなかった。
よって、F-35となったのである。 

F-35は、ステルス性能とレーダー性能が格段に発達しており、
長距離から一方的に先制攻撃をしかけることが出来る。
つまり、相手に気付かれる前に不意打ちをかけられる。
さらに、格闘戦になっても各種センサーとコクピットが優れているため、
他機種に後れをとりません。
F-15の最高スピードはマッハ2.5だが、ミサイルや燃料タンクが外付けなので
実質マッハ1.8くらいになってしまう。
F-35はマッハ1.6と遅く感じるが、ミサイルは格納型で機体の空気対抗は左右されない。
上記性能を鑑みると、総合的に優れた戦闘機となる。
ちなみに、ディアゴスティーニ自衛隊モデルシリーズ
第1号はF-15Jである。
余談だが、アメリカの航空機の名称は以下のように付けられている。
戦闘機はFighterのFで始まる名称となる。

A:攻撃機
B:爆撃機
C:輸送機
D:標的管制機
E:電子戦機および早期警戒機
F:戦闘機
G:永久飛行停止
H:回転翼気(ヘリなど)および救難機
J:臨時特別試作機
K:空中給油機
L:寒冷地仕様
M:多用途機
N:永久特別試作機
O:観測機
P:哨戒機
Q:標的機
R:偵察機
S:対潜機
T:練習機
U:汎用機
V:垂直離着陸機および要人護送機
W:天候観測機
X:実験機
Y:試作機
Z:飛行船などの軽航空機



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